優美無比の名コンチェルト

筆者にとっては最初のチャイコフスキー作品がこれである。非常に美しいヴァイオリンのメロディが特徴で、その辺は「3大」の他作品以上ではないかと思う・・・と書くと「チャイコフスキー厨」とか言われるんですかねぇ。

第1楽章:穏やかに始まって急激に盛り上がる導入に続き、ソロヴァイオリンがすっと入り込み、オーケストラをバックにメインメロディを奏で始める。第1楽章では主に2つの旋律が使われるが、メインに続き第2のメロディもソロヴァイオリンにて続けて現れ、展開してゆくという流れ。
このメロディが非常にロマンティックで美しく、暖かみがあるのが特徴。ソロヴァイオリン主導の流れはしばらく続くのだが、これがもうどこをとっても綺麗で、またずいぶん面白いメロディの動きを見せる。途中オケメインの展開があって、そのあとに長いカデンツァをソロヴァイオリンが独奏、その後、冒頭のメインメロディが再度現れ、前半と同様の展開(調律違い)を経て賑やかに楽章を終える。

第2楽章:「小さな唄」と呼ばれる楽章。物悲しいメロディが全編に満ちていて、途中には変ホ長調で奏でられる優美なメロディも存在する、やはりこちらも美しい楽章。といっても、前回の話にでた第5交響曲のような重さでもないし、第6交響曲「悲愴」のような暗さとも違う。哀歌のような響きはあるが、哀愁を漂わせつつも、歌うように美しい。
全体は割とコンパクトにまとまっており、最後は冒頭のフレーズが再度現れてやや暗い雰囲気になり、これが最終楽章へのつなぎとなる。

第3/最終楽章:直前の憂鬱な雰囲気をいきなり全力で吹っ飛ばす元気のいい出だしから始まって、軽快なメインメロディで勢いよく進む。全体的に舞曲のようなリズムを持っていて、スピード感あふれる賑やかな楽章である。歌って踊るイメージだろうか。どこか牧歌的とも感じる。
最終局面ではメインメロディを拡大展開させながら様々な楽器が次々に盛り上げていき、さらに賑やかになって行く。メインのメロディは最後の最後まで現れ、オーケストラによって一斉に奏でられるメロディに一瞬ソロヴァイオリン独奏による「ひとひねり」が入ったあと切れ良く終曲する。
この「ひとひねり」の小気味よさがいいね。