「宇宙の騎士テッカマンブレード」#47〜49話

古いビデオに入ってまして、最終3話「闇と死の運命」「壮烈!エビル死す 」「燃えつきる命」を一気に視聴。やはりOP曲「永遠の孤独」はかなりかっこえぇです。イントロのギターリフに乗せて太陽の彼方からズームでかっとんでくるブラスターブレードのどアップが懐かしい。
当時仲間内でも「毎回キャラの顔が違う」などとネタにされつつ割と好評だった作品。きっとジリ貧だったんだろうと思いつつ、中だるみもしつつ、だけど面白かった、そういうアニメ「テッカマンブレード」。多分70年代の、タツノコやら石森氏(あえて旧表記)の漫画やらの作品に見られた「悲壮な運命に翻弄されながらも戦うクールでホットな男たち」の系譜を汲む、怒れる若者の死闘。

テッカマンブレードってなぁに?

簡単に説明すると、知的生命体に寄生するエイリアン「ラダム」というのがいて、これがある宇宙船をジャックしたのね。こいつらは貧弱で、ちょっと踏むだけで死んでしまうから、寄生対象を「テッカマン」という超人に作り替えて寄生する。で、主人公は寄生される前に難を逃れるんだけど、他の乗員たちはみんな元の記憶や人格を残したままテッカマンになって地球を攻めてくる。ラダムのために。
この敵テッカマンというのが主人公の知人や兄弟だっていう話。最後は善悪に別れた双子の兄弟が戦って、勝った主人公が長兄と決着をつけに行って終わるという「変身ヒーロー愛憎劇」なわけ。

ブレードの思い出

事実、最終3話でも作画の不安定さは相変わらずで、ブレードとテッカマンオメガの最終決戦はOPからの切り貼りやバンクまで駆使しているほど。でも面白い。少なくとも、放送当時は本気で面白がっていたし、今見直してもやはりいい味出してる。

やはりその悲劇性が面白さのキモだったのかなぁ。自分の身内がみんな敵で、一人残らず手にかけて(テッカマンレイピアは別として)、最後に若本規夫テッカマンオメガのヤクザ声で「肉親殺し」と説教されながらボコられるんだよね。

いろんな意味で「濃い」作品だったと思う。双子を「元はひとつだったものが二つになった」として、それが愛憎入り乱れて激突するというのがなんとも。その愛憎劇っぷりが面白いんだよ、ブレードは。

「ブラスター」といえばテッカマン

テッカマンとしての身体を強制進化させた強化形態「ブラスター化」。ブレードはこれを強行したために徐々に記憶を失っていく。対する弟・テッカマンエビルも、兄であるブレードと戦うためにブラスター化を強行、という凄まじい話に当時震えた。今もこうやって書いてみて、そのあまりに壮絶な設定に「うおぉぉぉ・・・」と思っているのだ。
絵的にも、あのブラスター化するときの、テッカマンの装甲を内側から破ってブラスター形態が出てくるというビジュアルが好きだ。空間を破壊するかのようなブラックホール風のエフェクトがかけられたブラスター時のボルテッカに脅威を覚えた。そして、ブラスター化するたびに薄れていく記憶が悲しい。
最終回、最後のボルテッカ放射の瞬間彼が垣間見たのは、母の幻だったのだろうかと思ったり。

ラストシーン・・・

テッカマンブレード=Dボゥイこと相羽タカヤは、結局記憶をすべて失くして帰ってきました。彼を愛する女性とともに、静かに暮らしているということです。壮絶な運命の戦いを強いられた彼にとって、一切を忘れるということは恐らく唯一の救いだったに違いない・・・そんな、静かで美しい幕切れ。


・・・で終わらせてやりゃよかったのに、続編作るこたぁないじゃないか。しかもひどく明るいんでしょ?テッカマンの悲劇性とか、台無しにされた気分でございます。好きな人には申し訳ないけど。

森川智之・・・

を知ったのは本作でした。初主演作品ですね。いや、もうね、凄い。叫ぶ!唸る!吼える!
「テッックセッタァァァ!」*1から始まって「ボルっっテッカァァァァ!」*2まで、叫ぶ叫ぶ。*3
作画が悪くても面白ければ許される・・・そういう作品もあるさ。これとかね。

そうそう、これは結構有名だが、バンダイからプラモ化されたブレードは、通産省グッドデザイン賞をいただいております。そのシャープでスパルタンなフォルムがまた素晴らしいのだ。

*1:間的に「ッ」二つ分でしょう。

*2:やはり「ッ」二つ分。

*3:ボルテッカの掛け声でマイクが2本壊れた」という逸話があるそうで・・・。