隠しダイアリー21「臨戦」


あの人の前の彼、つまり問題の人物が、しばしば当ブログを観察していることは既に気付いている。目的や事情はともかく、俺がこうして復活を果たしたことも含めて、何らかの理由で見張りつづけているんだろう。
その彼に言わせると、あの人に相応しい男は自分であり、より相応しい人物が現れなければその立場は譲らないという。
確かにその言葉はある意味で正しい。俺と違って、言葉を発することなくお互いのコンディションを理解しあえるほど通じ合っており、その繋がりは絶対だそうだ。

その彼は、今もなおここを見張っている。この隠し記事まで知っているわけではないだろうが(教えてないので知っているとしたら内通者がいることになってしまう)、俺を「あの人に相応しくない男」として警戒対象に入れていることは間違いない。

本来ならこちらから出向いていって息の根を止めるべきなのだが、あえてそうしない。何故なら、彼が倒れればあの人は俺を許さないだろうから。だが、もし向こうから一歩でも踏み込んできたら、そのときは全力で叩き潰すことにする。叩くだけでは生ぬるい。絶対破滅を与えて抹殺しなくてはならない。

もう少し様子を見るが、正直言って気に入らない。あの人が彼を完全に切り捨てるつもりがない(おそらくまだ彼への想いが残っている)以上、俺はあの人の背後に彼女の永遠の半身であるその男の影を見ながら生きていかなければならないのだ。

今まで現実から目を背けてはいたが、あの人が帰ってきたなどと浮かれている場合ではなかった。相手への信頼が試される、これはさらなる試練である。

(2007・04・09)