隠しダイアリー・20


早く寝たが目が覚めた。

あれから1年。展開は予想外、だがその内情は予想の範囲内。

あの人は例の彼と「お友達」になったという。でも、今も交友は続いているのであれば、俺にはないマイルドな態度に魅せられることもあろう。そして、その性能は俺が今後一生かけても持ち得ない。
昔俺が、自分に言い寄ってきた女の子たちを跳ね除けたように、あの人はこれから、一度は深い関係になった・・・心から愛し合ったという彼との関係に終止符を打たなければならない。筋を通すということは、要するにそういうことだ。それがわからないような人間が大勢いて、世界をいい感じに狂わせている。

少なくとも1年前の彼女は、いつかきっちり決着をつけて俺のもとに戻り、その上で変節してしまった俺の心を取り戻すべく尽力すると言い切っている。あの言葉を信じたからこそ今の俺があるわけだ。

「青い果実」を思い出す。後ろなんか見ずに走りつづけてきたけど、知らぬ間に甘い誘惑に流されていたんだ、と。まぁアレは「ウルトラマンネクサス」後期オープニングですが。今日からは今日からの、明日からは明日からの、真新しいストーリー、刻めばいいでしょう?

運命を信じない。宿命という大きな流れはあっても、ひとつひとつの局面で道をどう選ぶかで運命はどんどん変わる。声優で占い師である潘恵子も、似たようなことを言っているな。
人に宿命があることは確かでも、そんなものは例えば街の地図のようなもので、どの道をどう曲がればどこに着くか程度の話でしかない。十字路で右に曲がろうが左に曲がろうが、角のコンビニに寄ろうが自由なのだ。そして俺は、そのハンドルを自在に切る事が出来る。事と次第によっては他人のそれにすら干渉できるのだから厄介なのだが。

運命ではないが必然的偶然の産物であるこの関係は、この空白の1年を除いても俺にとってもっとも長い関係である。同時に最も試練の多い道程でもあるが、甘ったるいだけの恋愛では得られない何かをつかんだ俺が他の選択肢を取ることはないだろう。あとはあの人次第。俺相手に筋を通す価値があると判断するか、それともその前にこの関係を終わらせにかかってくるのか、まだまだ結論は遠い。

でも、相手を心から愛しているなら、そこで筋を通すよな、常識的に考えて。

(2007・04・04)