隠しダイアリー・10「はじめて好きと言えた香水の香り」
カボシャールの香りが消えた。寂しいから、自分で手元に置こうかと一瞬思った。我ながら正気の沙汰ではないな。強情でわがまま、といった意味合いを持つ、高貴で秘密めいた香り。並みの香水とは違う・・・素人の俺にすら瞬時にわかる、格の違いを感じる。
はじめて逢ったあの日から、それが香るのが当たり前。いうなれば、それは俺を呼ぶ声のようなもの。今は消えたカボシャールの気配を、この4日間ずっと隣に感じていた。ずっと、ずうっとそうであってほしい、そう願っていた。このリゾートが果てしなく続いていたら、どんなに幸せか。
そんなわがままを制御して帰路につき、今はこれを書いている。
さて、週末は駆け出し傭兵として過ごそうか。「カウンターストライクネオ」にたまぁに参戦していたりいなかったりします。
参照URL:
グレ「カボシャール」関連/http://www.wakaba.co.jp/item/0000095.html
「カウンターストライクネオ」関連/http://www.csneo.com/index.html*1
男の俺が唯一愛する香り。自分で使おうとは思わないが、何かを思い出したいときの触媒にしたいとちょっと思った。そのあと、男なのに女物を入手しようと真剣に思い込む自分の馬鹿さに笑いを禁じえなかったのは秘密としておこう。唇や目の下に、ルージュの痕跡を残されたのも、はじめてのこと。
湿った空気を伴ったあの切なげな声が、まだ残っている。耳朶が、熱い。この、俺の中にどうしようもなく燃え続ける気持ちをもう一度ぶつけにいったら、許してくれるだろうか。
俺の感情のリミッターを一人でそれも指一本使わずに全部カットしてしまう・・・あの人は俺にとってはそういう人だ。おそらくはただ一人の。
自分の名前を呼ばれるのが、こんなに幸せだったなんて。
(2005・12・22執筆)