大谷昭宏にツッコミを

世間を賑わせた(?)奈良県の少女誘拐殺人。この事件で「フィギュア萌え族(仮)」なる新たな種族を提唱した英雄、大谷昭宏の文章(http://homepage2.nifty.com/otani-office/nikkan/n041123.html/)をいまさらチェキ♪

いやそこで「チェキ♪」にツッコまないでくださいね(苦笑

>もちろんいまの段階で犯人の動機は不明である。だが、私はこれらの状況からどうしても最近気になっていた「萌え」という現象を思い起こしてしまう。

うぉ、のっけから理論の飛躍。超理論です。「犯人の動機が不明」だと分かり切っているのに、なんでそれが「萌え」につながるのかな?まさか論者にとって不明なものだからとりあえずくっつけてみたとか言わないでしょうね。せっかくだからなんてのはナシですぜ?

要は若者たちが生身の人間ではなく、パソコンの中に出てくる美少女たちとだけ架空の恋愛をして行くというのだ。

じゃアレか、芸能人に萌え狂っている世間の人々はどうなんでしょう。「所詮自分の手がじかに触れるものではない」という意味で本質は大差ない、と何人かの女性に言われたことがありますよ?
それと、ちょっと「〜美少女たちとだけ」に注目してみるけど、エロゲーやギャルゲー好きで、なおかつ彼女持ちや嫁さん持ち=生身の女性に興味がある人間は大勢いる。筆者もたまに思い出したようにそういうものに手を出すことがあるが、実際現実の異性と付き合った経験がないわけじゃない。

>少女に無垢であってほしいのなら「キスしたい」という呼びかけに「ワタシ、男の人とキスしたことがないから、どうしていいのかわからない」と答えさせ、その答えに満足するのだ。自分の意に沿わない答えや、気に入らない少女の心の動きは完全に拒否する。

これなどはギャルゲーについての勉強不足を端的に表している。主人公がそれなりの魅力を発揮せねばヒロインとて振り向いたりしない、という種類の作品のなんと多いことか。勉強してこいよ・・・

パソコンの中で、それぞれ名前をつけられた少女たちの

不覚にも笑った。いやほら、それは何にでも登場人物の名前ってものがあるじゃないのさ。

もちろんまだ犯人像が絞れないいまの段階で、今度の事件の犯人を直接、この萌え現象と結びつけることはできない。
それがわかってて「フィギュア萌え族(仮)」とか言うんだからダメなんだよね。

ただ、解剖結果から誘拐直後に殺害しているということは、犯人は一刻も早く少女をモノを言わないフィギュアにしたかったことは間違いない。その上でフィギュアになった少女の写真を母親に送りつけ、ここでもまるでモノをやり取りするかのように「娘はもらった」という言葉を使っている。これまでの誘拐犯なら「娘はあずかった」だ。

まず「誘拐直後に殺害=一刻も早くフィギュアにしたかった」と直結する論拠が文中に見当たらない。従って根拠を提示しない限りこの理屈は無効化される。
「娘はもらった」というのは、まぁ好きなんでしょう、幼女が。犯人が異常者の類である可能性も否定できない。でもなんというか、もしかしたら殺さざるを得ない理由があったのかもしれない。例えば騒ぎすぎて周囲にバレそうになったとか。
この文で言われている通りの犯人なのかもしれないが、論者ご本人は文中でそのあたりの裏付けとなる証拠や考察をほとんど示していない。
算数で言えば、「1+1=2」という数式(というほどのものですらないが)を「○+○=2」と書いて、○の中の数字がいくつかを書かずに「答えは2だってば!」と声高に叫ぶのと同じ。○の中に違う数字が入ってたらどうする気なんだろうか。

それ以前に「娘はもらった」というのは言い回しの違い程度の問題なのかもしれんが(笑

 もう一点、犯人は少女を浴槽のような水を張ったところで水死させている。この殺害方法だと、少女をまったく傷のつかないフィギュアにできる。
といいつつ、
いや、少女の体には無数の傷があったではないか、という反論があるかも知れないが
・・んだよなぁ。それを、
、それこそが犯人の異常性。少女を水死させることで無傷の状態でフィギュア化し、思いのまま傷つけるのは、自分でなければ気がすまなかったはずなのだ。
と力技で結びつける。それぞれのポイントを繋ぐ接点が他にないと言わんばかりだが、ちょっと人間の感情や心理に詳しくなれば接点などいくらでも考えることができそうなもんだ。

まさにそこには、人間としての対話も心の動きもまったくない、無機質なモノしか存在しない。
ヲタク相手の対話をしてから言って欲しい、というのがまず一つ。それと、どんな動機でどういう犯行を行ったのであれ、犯人は感情も全くない無機的思考の犯罪マシーンではない。幼女が欲しいという動機は欲望=感情の一種ではないのか?

結局・・・

もう俺が今更言うまでもなく「こんな言い分が通るわけないだろ」と思っている方も大勢いらっしゃるかと思われます。ええ、俺も初めて読んでみて、ツッコミどころのあまりの多さに苦笑を禁じ得ませんよ。

一応書いて置くけど、俺もミクロマン史上屈指の萌えキャラとしておなじみ「シールドヒーラー・シャンニー」を持ってる(id:wolfhearts_t023:20040904あたり参照)人です。あの造形は確かに萌えるというご意見、ごもっともだと思います。あの顔造形は可愛いわ。
去年のミクロ関連では屈指の傑作でしょう。


で、俺がいつ幼女誘拐しましたか?

この手の犯罪、大げさに言えば猟奇犯罪の歴史は、ヲタク文化のそれよりも遙かに古い。ジャック・ザ・リッパーとか、パリ人肉事件とか、阿部定事件などといった過去があることを考えると、ヲタクだけを叩く前に「猟奇」というものについて考えたり学んだりできないのであれば、この事件について語る資格はないのでは?

ついでに言うと、「人形」というものの歴史も、ここでこうやってフィギュア愛好家を槍玉に挙げて魔女狩りすることが無意味な程古くて奥が深い。冗談抜きで、ホント勉強の足りない「有識者さま」だなぁと思う。それともアレか?わざとやってるのか?だとしたら単純に悪質な嫌がらせである。彼は全ての玩具愛好家に謝罪する覚悟ができているんだろうか。

フィギュア愛好家だからって犯罪を犯すとは限らず、フィギュア愛好家じゃないからって犯罪を犯さないとは限らない・・・基本的なことを忘れてこんな論理を展開する愚挙が通るとしたら、それはそれでヤバイっすよ。

要するに、いろんな人が指摘しているだろうけど結果が先なのよね。さっきの算数の例え話と同じで。正直、こんな老人に記事スペースを与えている日刊スポーツはもうちょっとしっかりした方がいいと思うぞ。(笑