なんとなく

「ジノーグ」の話をしてみようと思う。91年NCS/メサイヤメガドライブの横シュー。有翼人が数々の魔物相手に丁々発止の攻防を繰り広げるという内容で、実は後に「超兄貴」(92年/PCエンジン)へとつながっていく作品でもある(背景世界は別物)
ゲーム的にはまぁオーソドックスなので、いやに高い難易度(=プレイがアツい)というしかないのだが、困ったことにそれ以外がもうかなり語る価値のあるゲーム。

まず面白いのが画面。なんだか常に薄暗く、序盤から見ているだけで気分が暗くなる。1面からして地下っぽいし、2面は岸辺から始まるのだが曇天、3面は西洋風の城の内部でいかにもな感じの色彩(だが相変わらず薄暗い)、4面は得体の知れない工場。前半は高速スクロールで、後半は突然大量の手首が降ってくる。
5面は・・・アレはなんだろうか、こう、内臓っぽい世界。背景が白く、周囲に無数の毛細血管のようなものがラスタースクロールで揺れているという。ラスタースクロールのおかげで見づらいので弾避けがしにくいのなんの。
最終面は雲海で、ようやく雲の合間から太陽の光が差し始めているというもの。最後がこれってのもなかなかいいセンスだと思う。

敵は魔界の怪物たちなんだが、これがまぁなんとも訳のわからないデザインの連中ばかり。1面からして人間機関車だし、2面は帆船と融合した巨大な船長の顔、とまるで頭のイカれた人の妄想みたくなってきてますが、さすがにカモメに空爆される2面冒頭は相当アレな妄想に違いない。
3ボスは・・・また顔だよ。城主かな?顎が外れて火炎放射。道中にでてくるつるつるの脳味噌に足が生えたようなのとか下半身蠍とかアレだな。
4面はまぁそれなりだが、ボスがねぇ。工場長だって話なんだが、胸から上しかなく背骨露出、心臓が分離してきて、口と脊椎から赤血球をばらまく機械化途中の人間・・・あー、もう何考えてるのやら。
5面もまぁそんな感じ。中ボスはあぐらかいた銅のインド人・・・一瞬「サイコガンジーMk.III」という語が脳内をよぎった・・・なんでマークIIIかっつーと、すでに「ガンジーII」が存在するから。(「アル・ヤンコビック」で検索しよう)
ガンジーはまぁおいといてボスと行きたいんだが・・・

これいいのか?
「巨大なち○ぽに腕のない上半身が生えたスキンヘッド」
電波だ・・・

その分最終面はフツー。単なる中ボスラッシュだし、ボスもそんなに・・・ただ攻撃がなかなか厄介で、「破壊可能で固い誘導弾を極低速でばらまき、しかもそれが画面中を行き来してなかなか消えない」という恐ろしい代物。ボス以外で一番固いのはこの弾である可能性があるのだが・・・。

ところで俺がゲームを語る場合、真っ先に脳内で音楽が再生されるのだが、「ジノーグ」で厄介なのはその曲が妙な印象を持っていること。(作曲は「CUBE」ということだが、「超兄貴」の葉山氏ではない?)
各ステージは大きく2部構成になっており、中ボスをはさんで曲が変わる。

  • 1面は勇ましい前半から一転して後半は何か不吉な予感を匂わせる曲調。いきなりこれである。景気づけもクソもあったもんじゃない。
  • 2面も前半は勇ましい曲調なんだが、後半はぐっとテンポを落とした曲に。ただ今度は後半も勇ましいフレーズが続く。
  • 3面はオルガンのイントロで始まるバロック風の楽曲。後半は何故か2面後半のBGMに。
    • ミュージックテストでは5曲目に3面前半の曲が入っていて、6曲目にはゲームに使われていない曲が入っている。この6曲目が前の曲と同じくバロックテイストの楽曲であることから、何かの手違いで3面後半に演奏されなかったのではないかと思われる。おそらくバグ。いい曲なので是非流れて欲しかった・・・と書いてたらメガドラがいきなり止まったのは何故だろうか。
  • 4面は妙にファンキーなBGMが流れる。後半はテンポを落とした曲だがやはり明るめ。ただ、メロディがちょっとアラビアン入るのは面白い。
  • 5面。画面同様謎の曲。後半は危機感煽りまくりで、切羽詰まった感じが出ている。かっこいいです。でも1面後半と同じでなんだかこう陰謀くさい曲調である。ジノーグは常時こんなだな。
  • ボステーマは賑やかさとは無縁で、不気味なイントロに続いて金管のソロが延々と続くクラシカルなもの。このミスマッチ感がいい。不気味な本作のボステーマには、未だに追随する物がない。
  • 最終面は1曲のみ。重厚なバックに金管のソロでメロディを奏でる、いかにも最終決戦前といった緊張感溢れる曲。後半に相当するのは最終ボステーマ。前半に輪をかけて重苦しい、緊張と圧迫に満ちた決戦テーマ。比較的長い曲で、どっかの交響曲の終楽章ばりに展開する内容の濃い曲。
    • ♪ごんごんごごごんと響くイントロから始まって低音弦楽〜クラリ〜ピッコロ(多分)と受け渡されるフレーズの流れが脅威的にカッコイイ前半、弦楽器と管楽器の高速の掛け合い、フレーズのやり取りがアツい後半。有名な曲ではないが、個人的に時々ふと思い出す名ラスボス曲。燃える。

ステージクリア曲はそのリズムが「超兄貴」に継承されているとしか思えない(笑
それから、ゲームオーバー曲の妙にすがすがしい美しさも外せない魅力だ。エンディングもそうだが。

「ジノーグ」はその異様なセンスが際だつSTGであり、同時に非常に遊べるので、機会があればお試しいただきたい・・・んだが、手に入らない人もいるのか?なんせメガドライブだからなー。でも、STGとして面白いので、手応えあるゲームをやりたくなったら手出しする価値はある。