家族の肖像

家を建てて家族を住ませ、自分は家族がイヤになって他の女に泣きついているうちにそちらと結婚し、元々の家族を家から追い出した。
まったく、つくづく結構な身分だよ、俺の父親という奴は。

書いていて気付いたが、イヤになると女の体に溺れて逃避するという行動様式、「機動戦士ガンダムSEED」の主人公様、ご存じ「キラ・ヤマト」を先取りしていたのでしょうか。
復活するたびに「会社社長」という大きな力で国内を駆けめぐり、ついには海外にまで人知れず進出、韓国に現地妻を囲って暮らしたという彼の半生、その一部が今日旧家で見かけた小さな男の子、俺の腹違いの弟なのだろう。

子供には別に何の感慨もわかないが、その横で玄関の氷を割っている男が子供を連れてそそくさと退散したのを見ると失笑を禁じ得ない。
会社社長になるとああいうことをしてもいいんだな、と、今更社会勉強をした気分である。

密会レベル1のくせに浮気なんかするから俺にこんなことを言われるのだ。今度会ったらまたみっちりと文句を言って、今回の件で責任をとらせ金一封をせしめる方向で。どのみち負の遺産しか残さないのだから、先に奪うだけ奪おう。どうやら俺の「武者アレスタ」を勝手に処分してくれたらしいし。