「エアリアルプリンセス/狼牙2005」

ラグナロックとの2度目の攻防戦であり、人型機動兵器を本格的に投入したオセアニア戦から4年。接収したラグナロック側の技術を用いて最初の飛空戦艦「天姫」を建造した統合機関軍は、これを世界各地のラグナロック軍の拠点調査、及びそれらへの攻撃の任に就かせた。だが統合機関軍に出資・技術提供する企業「アルカナ社」の営利策により、士官としての教練を終えたばかりの弱冠二十歳の婦人士官、ミズホ・アガタが就任してしまう。
組織内の様々な策謀によりいびつな人材配置が行われてしまった「天姫」は、任務を受けて長い旅に出る。それは、若き戦士たちの試練の旅でもあった。

原案が来たときに、もう何というか脳天気すぎるこのヒロイン、ミズホを設定面で徹底的に叩き直すところから始まったもの。比較的長い話で、職務に対する自覚が全然ない連中がいっちょ前になるまでを描く青春ドラマ。ただ、陰謀劇とかそういうのも少しばかり混じってたりしていろいろ難儀。今思えば、そんな無謀なものに挑もうなんてどうかしてたと思う。
ミズホと、その相手役の主人公として整備兵あがりの補欠パイロット、ヒロキの恋を中心にしている。最終的には主要キャラの様々な因縁が絡み、ラグナロックのある研究機関との一大決戦に雪崩れ込む。
すべてが終わったあと部隊は一時解体されるのだが、ミズホとヒロキは結局再会を約束して別れるという結末を予定していた。

ちなみにヒロキには17式「閃光」が与えられている他、途中参加するメンバーの駆る数々の機体が艦に搭載される。ちょっと変わったところでは、後に「スカルファング」に登場する軽爆撃機、XBV−04「シフ」の試作4号機(もちろん重力破砕砲込みで)なども持ち込まれるが、あまりにあんまりなのでという理由で封印される。
飛空戦艦に搭載される機体ということで、イオノクラフトによる短時間(せいぜい15分程度)の飛行能力を有する機体が数機あり、これが部隊の空対空戦力の代用となる。また、59式改・超高出力電磁結界発生試験機「麒麟エプシィ」や、装甲機兵に攻撃機としての能力を付加した09式攻爆改「雪風F.A.E.L.」、電子戦に特化して制式採用を見送られたロストナンバーの無式「千覚」などの実験機体が搭載されているという設定もあり、モルモット部隊としてのカラーが強い。死んでもデータがあればいいさ、ということ。