「ヘラクレス」シリーズについてのあれこれ

実は、俺は1作目から4作目まで、ゲームボーイ版以外の4本を全て解いている。
1作目は何というかいろんな意味で強烈な個性を持っている異色作。ヘラクレスが主人公で、冥府王ハデスに捕まったビーナス(「ヴィーナス」ではないのかと小一時間・・・)を救う物語。何というか、真っ暗なダンジョンの中で唐突に敵と遭遇するのがひどく心臓に悪いのが印象に残ってしまっている。愛すべきクソゲーの見本のような作品。面白いですぞ。
2作目は、見かけ上は「ドラクエ」もどき。でも、ストーリーは悪くないと個人的に思っている。ヘタレチックな少年が、「勇気」を求めるケンタウロスの子供と「心」を求める青銅の女神像(ヘパイトスの作というのがナイス)を従えて魔物を討伐する、ギリシャ版「オズの魔法使い」とでも言うべき内容。ヘラクレスは主人公の仲間として登場。
3作目は上記の通りの伝説的名作なんだが、同じシナリオ担当者がストーリーを書いた4作目は3作目のシステムを大幅に強化(どことなく「メタルマックス」に近い快適さの追求を感じる)し、ギリシア神話の中でも有名な「パンドラの箱」をモチーフにした世界背景の中で、自分の肉体を失った不死身の若者たちが体を取り戻すべく旅をするという物語になっている。「命と運命」をテーマに、不死人の研究や人と人の繋がりを織り込んだ非常に味わいのある物語が繰り広げられる。
本作には3作目のような衝撃はないが、後からじわじわと考え込んでしまうような哲学的な命題を含んでいて興味深い。こちらも3作目同様、そこらの有名タイトルを凌ぐほどのストーリーを持つ傑作である。ヘラクレスは3作目に近いポジションの仲間。また「運命の3姉妹」の一人であるアトロポス・モイライがユニークなキーパーソンとして登場する。

また、3・4作目は音楽関係のスタッフがほぼ同じメンバーで、作品の世界によく似合ったオーケストラ調の楽曲が用意されている。

  • 3作目はフィールドBGMがとてもシリアス。また、移動手段としてペガサスが使えるのだが、その曲が2通りにアレンジされていて、この使い分けが非常に効果的。どう効果的かはネタバレになってしまうので書けないのだが・・・なるべくバレを回避する形で言うなら「絶望的な心境をそのまま描いた曲」とでも言うべきか。他にも佳曲が多く、楽しめる。エンディング曲は感極まって泣けるかも知れない。非常にニクいフレーズの使い方をしてくるのだ。
  • 4作目は前半と後半でフィールド曲が違う。前半は開放感と優しさに満ちたメロディのもの、後半は勇ましく、そしてどこか悲しい。(この曲も結構心憎いメロディ引用がある)とても重要な意味を持つ曲が一つあり、そのメロディがフィールド曲や果ては最終ボス戦にまで引用されているのが涙モノ。

3・4作目両方に言えるのだが、本作を手掛けたコンポーザーは木管楽器が好きなのか、要所要所の曲で木管にメロディを担当させている。それも他のRPGのオケ物以上に印象的な使い方で。金管や弦、鍵盤楽器なら他作品でも多く使われているが、木管楽器をここまで使いこなしているVGMコンポーザーは珍しいのではなかろうか?オーボエやフルートのソロが目立つRPGってのは意外と少ない気がするがいかがだろうか。