「特捜戦隊デカレンジャー」#11「プライド・スナイパー」

ホージー主役エピソード。ホージーのかつての親友・ヴィーノが地球にやってくる。ホージーは久々の再会に喜ぶが、ヴィーノは強化改造を受け銀河屈指の殺し屋になっていた・・・という、まぁ結構よくある話。

・・・なんだけど、なかなかどうして、グッと来る出来。ゲストキャラであるホージーの旧友・ヴィーノのシブ目の口調、凄みを利かせたツラ構えはなかなかサマになっている。プロとしての信念と誇りを貫くホージーとの対比にはこのくらいの悪党の登場が必要だったんだろうね。
ボスの暗殺未遂、裏切りの理由を問い詰めるホージーと、デカの仕事に疑問を持ち悪魔に魂を売ったヴィーノの独白。射撃の腕で負け、友情の証である揃いのブレスレットを弾き飛ばされ、友の豹変に慟哭するホージー・・・。
そして人質を取っての要求に対し決着をつけるべくヴィーノと対峙するホージー。さびれたクラブの映写機がスポットのようにホージーを照らしだすシーンはかなりいい雰囲気。空のフィルムが回り続け、それが切れた瞬間の一撃の勝負。フィルムが回り、そして切れる映写機のカットを挟んだシーン展開が二人の決着の瞬間を無言で語る、そんなハードボイルドの雰囲気を出していていい。あの何も映さない映写機のフィルムは何を意味するのか?かつての二人の記憶や時間が失われたことの象徴?(考えすぎか)それともホージーの姿を映画的にハードボイルドの主人公になぞらえた、とか?(それも考えすぎじゃないのかね)そして静かに燃えるホージーの変身シーン。
銃の腕で勝っていたはずのヴィーノ=暗殺者ギガンデス(って名前がちとアレだぞ。イーストテクノロジーか!?)はホージーに敗れた怒りに燃え、薬物で(ってとこに一抹の悲しさが)巨大化、それをロボで迎え撃つデカ。ギガンデスにとどめを刺すホージーの「GoodBy forever...and ever...」これで永遠に、さよならだ・・・!

今回は細かいネタをあちこちに仕込んである。ガンさばきでホージーをも凌ぐヴィーノの腕前、ホージーとヴィーノのお揃いのアクセサリーであるSPDマークのブレスレット(商品化するって!?)の使われ方、新型ボディアーマーで暗殺を免れたボスの話で語られるスワンとの関係の断片(前にも彼女に助けられてるんだな、フサフサの犬さんは)など30分に詰めこむだけ詰めこんで楽しませてもらった。音楽も、ホージーギガンデスの一撃必殺対決からロボ戦、さらにとどめまで情感あふれる悲しげなBGMを次々に流すなど徹底している。
欲を言えばヴィーノにはもっと深い動機づけの描写が欲しかったとか、このままケリをつけるのではなく事あるごとにホージーの前に立ち塞がる強敵として生かしておいて欲しかったとかいろいろあるが、まぁ贅沢は言うまい。

ギガンデスが巨大化の際にブレスレットを落としていることと、それをホージーが拾って自分の手につけるラストシーンは、やはり過去の友情の象徴なんだろうね。

エンディングの小ネタ、今回はウメコちんのパトシグナー。水の上も走れるという話にとっさに反応して浮き輪に水着に水中メガネを装備するマーフィーであった。・・・バカ犬め(笑)