その後。

あんまり面白くない話なので。


あの人とは、結局ダメになった。
俺では落ち着かないから、というのがあの人の言い分なのだが、その理由は最後までわからずじまいだった。
確かに最近、俺の周辺には何人かの新しい女の子との出会いがあった。だが、それは自分にとっては新しい恋などでは決してなく、ただ自分自身をいろんな角度から再考察するための素材でしかなかった。
あの人の目には、俺は「いろんな女性にモテまくり」と映っていたそうだ。しかし、それは所詮「惚れ補正」。強力なフィルターのかかった歪んだ像でしかない。その歪んだ補正を正すために、俺がしたことは「全ての出来事を相手に正確に伝達する」こと。誤解を生まないように正しく伝えることで、余計な不安を取り除く必要があったからだ。
個人的に、身近な相手、それも自分の交際相手となれば隠し事や嘘は可能な限り取り除くべきであると思う。最も信頼が必要であるという理由からだ。他人の信頼を得るためには、徹底的にやらなくちゃいけない。

俺もたいがい不真面目な人間なのだが、せめて自分にとって一番の相手には誠実さをもって臨みたいという考えを持っている。相手が「私は遠距離だから、バレなければセックスフレンドくらい作ったって・・・」などと言い出すことも少なくなかった*1が、それでも俺は裏でこっそり、という考えは出来なかった。自分に言い訳をすれば、あるいは出来ることだったかもしれない(相手の言い分を免罪符にもできるし)が、俺自身がそれを許さないし、そもそも他の誰かに目が行かないのだ。
こういう自分を偉いとも思わないし、立派だという賞賛も求めない。俺は当たり前のことをしているに過ぎない。

俺には今もあの人への未練が残っている。そして、過去何度もやり直してきたように、一度は他の男に走ったにも関わらず戻ってきたように、また帰ってくるのではないかという期待も無いといえば嘘になる。客観的に見て救いようの無い考えだと思うが、多分あと何年かはこのままでいるだろう。少なくとも今までの経験から言えば、長い時間を必要とするに違いない。
誰かと別れたからといって乗り換えを試みるのは、なんだか節操がない気がするのだ。一途な人間なら、誰もが似たような考えに行き着くのではないかな?と思うのは、俺の考えが幼いことの証明だろうか。

あの人がその後どうしているかはわからないが、想像はつく。あの人に恋人がいなかった瞬間は一度としてない、と聞く。ということは、あの人は既に次の相手を決めていることだろう。俺のことなどもう記憶の片隅にも残ってはいまい。
「一度彼氏に背を向け、しかし関係回復に全力を尽くす」一途な知人の代表格(笑)である颯野あたりが聞いたら「無節操」とか「ホントに好きで付き合ってたのかその人?」とかボロカスに言いそうだが、とりあえずそこは自粛してもらうとして。

あの人の言い分を振り返るに、おそらく自分がいなくなった分、俺も他の誰かと付き合うことに時間を使うと予想しているだろう。だが、俺は何しろヲタなのだ(笑)恋愛以外のことに時間を使うと考える方が、より自然だ。*2

先日話題にあげたOSTERprojectさんの作品「DreamingLeaf〜ユメミルコトノハ〜」の歌詞に、なんとなく思う。もう少しこの曲と出会うのが早ければなぁ。
遠距離恋愛がテーマのあの曲で語られるのは「すれ違いが続く関係を言葉で未来に繋げる」という恐ろしく前向きな考え方。けれどその前向きな考えは、最後まで俺一人のものだったのだな、と思う。
あの人が俺の話に耳を貸さないのは何故なのか考えて、俺が未熟だったのだろうということで自分の中に結論が出てきている。でも、俺はあの人が「今より少しでもマシに生きる」ために必要なことを教えたいと願ったし、そのことを否定されてはもはや何一つ喋ることが出来なくなってしまう。
結局、人は自分でない誰かと真っ向から向き合うことなどしないのだな、と、漠然とした虚脱感に襲われたが、それもまた俺に課せられた罰に違いない。あるいは俺が何一つ正しくなかったか。



とここまで書いて、ふと思った。颯野も言っていたが・・・「あの人は、俺の何を見ていたんだろうか?」
先日話し込んだが、颯野曰く「ブログ全部読んでりゃ兄さん*3がどんな人間かおおよそは理解できる」ようだ。
確かにネー・・・俺についての主な要素はほとんどここに詰まっているからなぁ。あ、いや、最近ミクロ関係分離したけどさ。

自分の内面、あの人に晒して良かったんだろうか。今は漠然とそれを考える。所詮、住んでいる世界が違うのか。世の中の変化にアンテナを張り巡らせる俺の姿に「情報を読み違えて思い込みで考える幼稚な人間」というレッテルを貼られた時は絶望したが、本当はそんなことを意識している俺のような人種の方がオカシイのか?しかしそれなら何故今になっていろんな人が政治や外交、歴史などについて再認識しようとしているのだろうか?
正解はわからないし、絶対的な唯一の解法があるとも思わない。ただ、安易な正解を求めようとは思わない。表面的なものに気をとられて見失うものが多いご時世だから、尚更だ。
そして、俺はあの人への未練と正面から向き合いながら生きてみようと思う。俺は俺自身に嘘をつけないし、あの人に対しても最後まで誠実であり続けたいのだ。あの人も「今後恋愛はしない」と言っていたが、果たして?
あの人がこの話を聞いたら「いつまでも私に縛られないで」とか言い出すだろう。だがこれは束縛ではなく俺が他者に対して正面から向き合っていることの証明だし、そんなに俺が苦しむのが嫌なら戻って来なさいよという話なのであって(笑

あの人には言えなかったが「安易な善意には裏がある」と言っておくべきだっただろうか。以前違う相手に走ったときにも思ったが、いろいろな条件を考えたとき、あの人は非常にカモられやすいと思う。そういう意味で節度を持って、自重することを覚えるべきなのではないだろうか、と考える。これはまぁ、経験則。


俺も、あの人にはどこまでも甘いのだ。もしあの人が目の前でピンチに晒されていたら、迷わず最速で助けようとするに違いないのだ。つくづく、俺は甘い。

あの人について言及することは、今後はなくなっていくと思う。泣き言を言いたければ他所でやればいいのだ。この日記を泣き言で埋め尽くすわけには行かない。俺はそれでも、前に進まなければならないのだ。前よりも強くならなくては、今後を生きていくことはできないのだ。
しっかし・・・前といい今回といい、本当に些細なきっかけで崩壊するんだな。俺そんなに悪いことしてないんだがな・・・。

しかし心配だ。あの人は基本的に、わかりにくいものはとことんダメなクチだからなぁ。変なことになってなきゃ、いいんだが。

*1:これが俺とあの人の間に断絶を作っているようで個人的には残念だったのだが・・・どうだろうか。

*2:これは俺について知っている方々なら容易に想像が出来ることだろう。何しろ趣味に金と手間暇がかかるものを複数抱えているのだから。

*3:颯野も俺を「兄さん」呼ばわりするんだよな。やはり年上だからだろうけど。