「蒼穹のファフナー」#20「燈火/ともしび」

・・・マジかよ!って話。島での夏祭り、死者の魂を偲ぶ島民たちの前に、かつての戦闘でフェストゥムに同化されたファフナー搭乗者・春日井甲洋が姿を現す。彼は長い間閉じこめられ生命維持だけをされてきたのだが、覚醒し地上に現れたのだ・・・フェストゥムとして!
甲洋を説得しようとする友人一同vs組織の部隊による包囲網の対峙、ついには日野の駆るファフナー・メガセリオンタイプまでが包囲に加わる中、目の前に現れたカノンに同化を迫るも拒否される。その姿に亡き翔子の面影をだぶらせて、甲洋の記憶が蘇ってゆく・・・かつての想い人である翔子の死を思い起こして反芻し、涙に暮れて人としての自身を取り戻すまでがストレートかつ見事。

フェストゥムは・・・泣かない・・・」真壁司令のこの一言が重い。

なんだか青臭いけど、よかった。フェストゥムによる同化から戻ってくるなんてのは正直予想外で、あのままやむを得ず甲洋を殺すor重傷に追い込むという「エヴァンゲリオン」における第13使徒戦のような展開を想像したんだが・・・それだけに、翔子のことを思い出して涙する甲洋の復活と、一緒に涙する仲間たち、という構図に不覚にもグッと来た。

翔子の死に至るドラマの薄さは以前酷評した通りだが、翔子の死から派生するドラマのほうがこれだけストレートに見せ場になっていることを思うとつくづく残念で仕方がない。もし翔子の死までの展開が丁寧であったなら、今回の分と合わせて「ファフナー」最大の名エピソードになれた可能性もあったんじゃないだろうか。

細かいネタを仕込みキャラクタードラマを盛り込むことも忘れない。今回はゴウバインのマスクをかぶった衛がカノンに盆踊りを教えるくだりでのヘンテコなやりとり(ゴウバインネタ教えてどうするんですか君は)や、前回の戦闘での咲良の危機への対処などをめぐるファフナー搭乗者の横のつながりが描かれる。咲良とカノンの奇妙な友情とか、剣司の咲良への気持ちなどを明るく描いているあたり、青春ドラマしててよい。あ、お祭りの射的屋で真矢ゴルゴモードもあり!夜店でゴルゴする真矢ってどうなんだよ・・・(笑
俺は日野の兄貴(声はなんと堀秀行!)が結構好きなんだが、どうよ?少年たちに対するいい先輩って立ち位置だよな。

前半の脚本の弱さがもったいないと感じるほどに、最近の「ファフナー」は面白い。こっちまで化けるとは思わなかったぞちくしぉ。なんせ今回もAパートの密度に時間の流れが減速したかのような錯覚を覚えたからな。アイキャッチみて「まだAパートだったんだっけ・・・」とか思ったくらいだ。ホント、ちゃんと観てりゃ良かったよ・・・OPは好きなだけにね。


あ、りんご飴ください。